松木です。
「ご相談・お問い合わせページ」に寄せられたご相談の中から
皆さんの役に立ちそうなものをピックアップしてお届けするQ&A第六弾。
(※読みやすいように加筆・省略・修正してます)
第一弾「Mt.富士ヒルで最速のホイール組み合わせは?」など
第二弾「回転部とそれ以外の軽量化の違い」「10万のカーボンクリンチャー」
第三弾「40mm VS 50mm」「ローラーでフロントを上げるべきか?」「Cervelo『S5』」
第四弾「ヒルクライムのドラフティング効果」「2:1組」「ポジションの出し方」
第五弾「軽量高剛性ホイール」「軽量化の質」「ビッグプーリー」「継続力」
第七弾「ブレーキ音鳴り解消」「ディスクかリムか」「オススメのチューブ」
第八弾「強豪が何故クリンチャー?」「プロのホイールバランス」「エンドワッシャー」
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【チェーンリング】”楕円”について
Q1.楕円チェーンリングを考えているのですが、
松木さんのブログ等には殆ど出てきておらず、
どのようにお考えなのか教えていただけたらと思います。
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A.昔々、まだQ-ringsにシルバーが存在していた頃・・・
Rotor『agilisクランク』(現在の3Dシリーズの前身)との組み合わせで
およそ2年使用していた時期があります。
速度が明らかに上がるといった美味しい事はなかったにせよ、
「回す」よりも「踏む」タイプのペダリングの自分にとっては、
そのタイミングで重くなる楕円ギアの感触は好印象でした。
ですが………
変速性能がどうしても気になってしまい、結局真円に戻してしまいましたね(^^;
(最近の楕円の変速性能は当時より改善されてます)
戻した直後は、真円に違和感を覚えたものの、
すぐに真円にも慣れてしまいまして、
以降また楕円を使いたいと思ったことはありません。
「乳酸の発生を9%抑え、出力を4%アップ(上のデータだと1kmTTで+25w)する」
という大学実験のデータがあったりしますけど、ハッキリ言ってこれは眉唾物。
楕円チェーンリング向きのペダリング&脚質であったとしても、
せいぜい出力+1%程度のアドバンテージが妥当かなという感覚ですね。
また、1秒でしのぎを削るトップ選手の間でも、
楕円チェーンリングを使用しているのは、
INEOSのクリス・フルームぐらいなもの。
仮に誰でも「出力4%アップ」するのであれば、
選手たちは軒並み楕円チェーンリングを選択しているはずですが、
99%以上の選手は、通常の真円チェーンリング。
以上から、楕円チェーンリングに関しては、
特別オススメできるようなアイテムではなく、
「一度使ってみるのもいいかも」という控えめな態度を取ります。
使用経験が2年あり、自分の中で上記のような結論出ていますので、
今さら敢えてブログで取り上げようとは思わない次第です。
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【フレーム剛性】硬いフレームってどうなの?
Q2.松木さんのインプレッションで高得点のフレームは、
世間一般的には「硬い」と評されるフレームが多いように思えるのですが、
そのようなフレームがお好みなのでしょうか?
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A.端的には「普通よりは硬い」が好みですね。
「力強くダンシングしても推進力が逃げる感覚が無い」が、
自分の中での合格ラインなのですが、それも限度はあって、
「硬すぎる」フレームはむしろ嫌いです。
「超高剛性」との呼び声が高いフレームを体感してみたくて
2013/11~2014/11の間、Specialized『Tarmac SL3』に乗っていました。
Photo:横田プロ@護摩壇山デスライド(走行15時間30分、距離270km、獲得標高≒富士山)
評判通り「硬さ」「パリパリの乗り味」を強烈に感じるフレームでしたね。。。
この感覚はペダルをガンガン踏む”登り”ではまだ活きてくるのですが、
それ以外のシチュエーションでの印象が非常に悪い……
常に脚から「硬さ」が伝わってくるのが不快で仕方なかったのです!
「高剛性」とか「超軽量」というのは、それだけ特化したところで
イコール「速さ」「乗って気持ち良い」にはつながらないのだと実感。
この『Tarmac SL3』に乗って以来「〇〇%剛性アップ」という
フレームの売り文句に一切の魅力を感じなくなりました(^^;
ちなみに、Lightweightホイールも同様の理由で合わず↓
【ホイールバランス】どれぐらい優位性があるか?
Q3.ホイールバランスは、どこまでレースで優位性があるとお考えでしょうか。
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A.まず自分はホイールバランスを取っています。
以前は『ホイールバランスシステム』を所有していたぐらいです(笑)
ですが、正直言いまして「ものすごい良い」とは感じておらず、
「必須だとは思わないが、出来るなら施工した方が良い」というスタンス。
(ウエイトを貼り付けているプロ選手も見たことないですし)
YouTubeには「高速回転させると上下にガタガタしていたホイールが、
バランスを取ると”ピタッ”と止まる」といった動画が多数UPされていますが、
これは一種のパフォーマンスでしかありません。
ホイールが大きく上下しているのは「共振」しているからであって、
実走において、ホイールにはバイク&ライダーの重さ数十kgがのしかかっており、
「振れ」が抑え込まれている状態なので「共振」は起こりませんから。
そして、体感的にも効果は”無い”に等しいレベルです。
大理石のような滑らかな路面を走っているならまだしも、
実際に走っているのは、凸凹が続くアスファルトの上がほとんど。
身体に伝わってくる振動の大部分はその凹凸によるものであり、
ホイールバランスの乱れによるブレの影響など「気のせい」の域を出ません。
ましてや、たまにサービス文句として見かける
「速度〇〇km/hアップ」などに1ミリの信憑性もありませんね(笑)
と、散々こけ下ろしながらもホイールバランスを取っているのは、
「ウエイトを貼り付ける重量増のデメリット」よりも
「バランスを取って僅かなブレを抑えるメリット」の方が、
ほんの少し大きいのではないかと考えているからです。
重量増といっても一般的には
前後で数g~Max40g増、平均20gで済みますから(Campa、Fulcrumは特に優秀)、
ホイールバランスを取り、少しでもライドフィーリングを良くした方が、
賢明なチューンナップのような気がしています。
それに「やるだけやった感」も出ますし(←ここ重要w)
ただ、速度域が低くてホイールは高速回転せず、
また1gも増やしたくない「ヒルクライム」においては、
ホイールバランスを取るのは蛇足に過ぎないかもしれません…
【パワー管理】パワーメーターは必要?
Q4.パワーメーターの導入を検討しているのですが、
パワーメーターの必要性についてどのようにお考えですか?
(普段はスマートトレーナーでZWIFTをやっています)
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A.「パワー」は唯一と言えるトレーニング指標になりますから、
やはり何らかの方法ではパワーは知るのは必須だと思います。
ですが、パワーメーターに関してそこまで難しく考えてはおらず、
必要に応じて最小限しか利用していません。
自分の場合、ZWIFTプレイがパワーメーター・分析代わりになっており、
Pioneerを持っているのですが、実走でパワーメーターを使うのは稀です。
ZWIFTでは、画面左上のパワー、そして
名前下のw/kgと常に”にらめっこ”している状態です。
これで「FTP」「強み&弱点」は自ずと把握できますから、
パワー管理はそれで十分だなと。
すべての走行パワーデータを蓄積し、CTLを指標とする方も多いですが、
自分はその必要性を感じずに切り捨てています(正直面倒というのも(笑))
(※CTL:過去42日間の練習量から現在の練習効果を数値化したもの)
結論としては、
Zwifterならば実走用パワーメーターは必要ない気もしますが、
・普段の実走で、どうしてもパワーを測定したい区間・峠がある
・日々の実走、レースのパワーデータを基にしっかり分析、CTL管理したい
・ペダリング効率の改善に本気で取り組みたいと考えている
といった「明確な使用目的」があるならば、導入する価値はあるでしょう。
ただ「強くなるためにはパワーメーター!」という漠然とした想いで手に入れても、
パワーデータを取るだけ取って、ろくすっぽ分析しなければ単なる”お飾り”に……
とは言え、
導入してみて初めて分かる事があるのも事実ですから(何事も経験!)、
とりあえず4iiiiなど安めの片側センサーで試したりするのは大いにアリ。
⇒「やはり要らない」という結論に至ったらヤフオクなどで売却
⇒「便利だ」と思えば、もう片側、もしくは精度の高い物へのグレードアップも検討
というのも一手かと思いますね(^^)
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松木さん
いつも楽しく、かつ、当方のようなド素人にもためになる情報、本当にありがとうございます。
超軽量化、ビッグプーリー、楕円リング、ホイールバランス、パワーメーターなど、興味のあることは一通り首を突っ込みました。 はい、授業料もたくさんたくさんお支払しましたw。
確実に効果を感じられたもの、なんとなく感じたもの、効果はまったくないけどご満悦になれたものwなど、いろいろでした。 もちろん、金をドブに捨ててしまった・・・と後悔もたくさんしましたし。
脚力だけでなく、身長や体重その他体力、乗り方、求める方向性などなど。 すべてが同じなんて人はいませんから、最終的には、やはり「自分の目で見て、体で感じる。」しかないんでしょうね。 それに、各機能にしたって、トレードオフする要素もありますしね。
お金とスペースと体力と時間。 すべてに余裕があればいいのですけどね!
ゆうぽんさん、いつもコメント有難うございますm(__)m「自分の目で見て、体で感じる。」しかないというのはその通りだと思います。その道を通るのは多大な出費を伴いますが(笑)、色んな経験を積んだ上でしか、自分の理想のロードバイクには辿りつけないんじゃないかと。ですから、お金をドブに捨てるような事も決して無駄では無いと思います(^^)とは言え、熟考した上で取捨選択して購入しないと、私生活が破綻しますがw