松木です。
今回は次の5台。
- FOCUS(フォーカス)『IZALCO(イザルコ) MAX DISC』
- FELT(フェルト)『AR FRD』
- TIME(タイム)『IZON(アイゾン)』
- ORBEA(オルベア)『ORCA(オルカ) AERO』
- RIDLEY(リドレー)『NOAH(ノア) SL』
【前編、中編】
『785 Huez RS』 『KHAN』『Oltre XR3』『XR4』『Specialissima』。
『Concept』 『V2R』『O2』『One』『Nemo Tig』。
【他の試乗インプレ】
『Colnago C64』『Ciel』『Farna Ultimate』『Kougar』
『Agree C:62』『Propel Advanced Pro Disc』『百式』
デローサ『プロトス』3T『ストラーダ』Macchi『R9』
『アルプデュエズ』『Helium X』『Fenix C』『ARIA』『FR1』
『Venge Vias』 『Roubaix』『Tarmac』『ウルゲシュタルト』『Diamante SV』
『Dogma F10』 『GAN RS』『SINTESI』『RCR TL』『TRANSONIC』
『SCYRON』『ORCA OMR』『TCR Advanced Pro Disc』『Carbonex HR』『Carbonex』
『FRTC01チタン』『MADONE 9.9』『新型Emonda SLR』『新型R5』『新型S5』『XELIUS SL Ultimate』
ハイエンドバイク16台一言インプレッション後編
FOCUS『IZALCO(イザルコ) MAX DISC』推定価格75万
【加速性】7.5点
【剛性】8点
【振動吸収性】7点
【巡航性】8点
【お気に入り度】6.5点
(※8点で「なかなか良い」)
『IZALCO MAX』が登場したのが2013年。
フレーム750g、フォーク295g(56サイズ)は
FOCUS史上もちろん最軽量で、
4年以上経った今の基準で考えても、十分軽いです。
アージェードゥーゼル(AG2R)が
2016年まで供給を受けていましたが、
2017年からスポンサーがFACTORになってしまって、
現在、UCIチームでFOCUSを使用している所はありません。
そして、「ディスクブレーキ化」の流れが訪れた際、
2015年というかなり初期の段階で、
他のメーカーより一足先にディスクを導入したのが、
この『IZALCO MAX DISC』という訳。
『IZALCO MAX』自体は、
ツールの山岳ステージで優勝経験のあるほどのバイクで、
「エアロ性能」を除いて、
すべての基本性能が高水準でまとまっている印象でした。
奇しくも、AR2Rが乗り換えたFACTOR『02』と同じようなバイク。
文句の付けようは無いけど、心躍るような部分も無し。
今話題のチューブレス
MAVIC『KSYRIUM ELITE UST』。しかもディスク。
徹底解剖!MAVIC(マヴィック)の2018年チューブレスロードホイール。
自分としては、これがかなり悪かったですね‥‥
まず、ディスクブレーキなのが、個人的にはダメ。
ディスクについては賛否両論ありますけど、
”効きすぎる感じ”が、何度乗っても好きになれない‥‥
それから、装着されていたタイヤが、
マビック推奨の『YKSION(イクシオン) PRO UST』ではなくて、
コンチネンタル『4000sⅡ』25cで、普通のクリンチャー。
やはり『KSYRIUM ELITE UST』の良さは発揮されていない気がし、
”普通のホイール”に成り下がってしまっていました。
これが販売されている実際の仕様ですが、
本当にもったいないです‥‥
FELT(フェルト)『AR FRD』推定価格138万
【加速性】9点
【剛性】9点
【振動吸収性】7.5点
【巡航性】9点
【お気に入り度】9点
(※8点で「なかなか良い」)
この車体を一言で言い表すならば、
”スピードモンスター”
フレーム全体に渡って「テクストリームカーボン」が使用され、
56サイズのエアロフレームにして
フレーム908g、フォーク340gと、驚異的な数字。
(Cervelo『S5』(54サイズ)のフレーム実測は1065g)
それでいて「横剛性」は十二分に高く、
踏むとダイレクトな反応を魅せてくれます。
先に試乗した『CONCEPT』は
BB周りの”しなり”を利用するエアロロードでしたが、
この『AR FRD』はそういったタイプのバイクじゃありません。
高出力でも「ペダリングパワー変換効率」は衰えず、
アタック、スプリントなんかにも
問題なく対応できる俊敏なフレームだと感じました。
ZIPP『404 NSW』にコンチネンタル『4000sⅡ』23c。
「NSW=Nest Speed Weaponry」の名の通り
ホイールには兵器並みの戦闘力を感じました。
カチカチのホイールではなく、
わずかに「反応性」を犠牲にしているものの、
それとトレードオフで得ている「踏みやすさ」とのバランスが絶妙。
ZIPPの他のモデルに多い、嫌な”パリパリ感”がありません。
そして、言うまでもなく「巡航性」はピカイチで、
中速域でも体感できるほどの”伸び”が気持ち良すぎます。
磁力を利用してラチェットの抵抗を抑えた「Cognition」ハブ。
車体を持ち上げて進行方向に空転させてみましたが、
確かに、普通のホイールよりも回り続ける時間が長かったです。
下りで脚を止めた際には、圧倒的アドバンテージがありそう。
ちなみに、ブレーキ面に細く刻まれた溝は、
実際にブレーキしてみると分かりません。
「雨」で威力を発揮してくれるのだと思います。
TIME(タイム)『IZON(アイゾン)』推定価格115万
【加速性】8点
【剛性】7.5点
【振動吸収性】7.5点
【巡航性】8点
【お気に入り度】8点
(※8点で「なかなか良い」)
近江RIDEフェスで乗った『SCYRON(サイロン)』は
攻撃的なエアロロードでしたが、
この『IZON』は、
シートステイを細く、かつベントさせて
リア三角の「快適性」も狙っているモデル。
『SCYRON』の時もそうでしたが、
ある程度乗り込まないと、
その良さが伝わってこないのが最近のTIMEの傾向?
能ある鷹は爪を隠しているのか‥‥
少し走った程度では、特徴を発見しづらかったです(^^;
ただ、「パーツ構成」は面白いバイクでした。
変わった構造を持つ『AKTIV(アクティブ)フォーク』。
フォーク内の写真。
先端に「重り」が張り付けられて金属板が
エンド方向から伸びています。
これが下の動画のように作用して、振動を減衰させるそうです。
上が「あるとき」、下が「無いとき」。
なんか物理の実験みたいですよねぇ。
実際、体感レベルでの「振動減衰性」は感じられせんでしたが、
もっと荒れた路面を走れば、その違いが分かるのかも‥‥
メインコンポはDura-Ace R9100でしたが、
クランクとブレーキにはFSAが取り付けられていました。
このブレーキ『K-FORCE V16』には、
細かい部品に”チタン”が使用されており、
『BR-R9100』よりもやや軽い前後セット299g。
ただ、値段がデュラの2倍近い6万‥‥
肝心の「制動力」は言うと、
ブレーキの効きが悪すぎました‥‥
止まれないカーボンホイールの典型例といった感じで、
VISION製のシューとホイールも犯人だったに違いありません。
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ORBEA『ORCA AERO』推定価格100万
【加速性】8点
【剛性】8.5点
【振動吸収性】7.5点
【巡航性】9点
【お気に入り度】8点
(※8点で「なかなか良い」)
【2018年モデル】『ORCA AERO』。風洞実験800回に及んだオルベア初のエアロロードバイク。
すごく気になっていた車体です。
FELT『AR FRD』よりも
「剛性」「加速性」「巡航」
どれを取ってもワンランク下の印象。
それゆえ、『AR FRD』の後に乗ってしまうと、
”グッ”とくるようなものは少なかったです。
VISION『METRON(メトロン) 55SL』。
このホイールがあまり良くなかったなぁ‥‥
”もっさり”感があって、
運動性能が『404 NSW』に及びません。
別のホイールを履かせれば、
『ORCA AERO』に受ける印象も変わっていたでしょう。
ハッチンソン『FUSION 5 GALACTIK 11 STORM』25c。
第三機関が最高評価を下したタイヤ2018年ハッチンソン「フュージョン5」をインプレ。
『Nemo Tig』に装着されていた『FUSION 5』は、
新しい「11 STORM」コンパウンドではない旧作が付いていました。
この新作も、ほぼ変わらず硬かったです‥‥
もしこのタイヤを使うなら、ラテックスチューブは必須。
RIDLEY『NOAH(ノア) SL』推定価格83万
【加速性】9点
【剛性】8.5点
【振動吸収性】8点
【巡航性】8.5点
【お気に入り度】8.5点
(※8点で「なかなか良い」)
『NOAH SL』は、エアロロードっぽさが薄かったです。
走りに”軽快さ”があり、
そして、ハンドリングもクイック。
フレーム形状を見ずに、
「オールラウンドバイク」だと言われて乗れば、
何の疑いも持たずに信じてしまうでしょうね。
『AR FRD』、『ORCA AERO』と乗ってきて、
『NOAH SL』も同じ部類のバイクかと思いきや、
明らかにオールラウンド寄りの乗り味です。
開催中の「サントス・ツアー・ダウンアンダー」。
その第一ステージでスプリントを制したのが『NOAH SL』でした。
グライペルのスプリント時の最大出力は、
1900wを超えるそうです。
その凄まじいパワーを受け止める「剛性」は申し分なし。
そして、フレーム900g、フォーク440g(S)という数字も、
『AR FRD』に匹敵するほど優秀です。
「まったく」と言っていいほどに”穴”が見当たらないフレーム。
FFWD『F4R』チューブラー。普通に良い。
何をしても要求に応えるであろうマルチプレイヤー。
VISIONと違って”もっさり感”はありませんでした。
総論:個人的ランキング
フレーム部門
- LOOK『785 HUEZ RS』
- BIANCHI『OLTRE XR4』
- FELT『AR FRD』
CIPOLLINIは特殊すぎたので除外。
RIDLEY『NOAH SL』をランクインさせたい気持ちもありますが、
インパクトの強かった、この三台にしました。
フレーム、LOOK『785 HUEZ 』
+
ホイール、MAVIC『COSMIC PRO CARBON』
+
タイヤ、ピレリ『P ZERO VELO』
”個々のパーツでは到達しえない、完璧なマッチング”
ロードバイクの更なる可能性を感じさせられた、衝撃の一台でした。
”エアロロードなのに、抜群の運動性能”
それでいて、
『カウンターヴェイル』と『CORSA』が効いていて、
嫌な振動は減衰されていて「乗りやすさ」も兼備しています。
すべての項目の点数が高く、
『785 HUEZ RS』と同じく「速さ」だけではない、
ワンランク上の乗り味を堪能させてくれました。
「高剛性」「エアロ」「軽さ」
三拍子揃ったフレームに、
飛び道具のZIPP『404 NSW』。
まさに「鬼に金棒」。
サイクリスト向けとは言えないものの、
レース志向の人にとっては、
ライバルに差をつけやすいこと間違いないです。
ホイール部門
- MAVIC『COSMIC PRO CARBON SL C』
- ZIPP『404 NSW』
- フルクラム『RACING ZERO』
SHIMANO『WH-R9100-C60-TU』も申し分ない性能でしたが、
「チューブラー」というメンテナンス性の部分を考慮すると‥‥
「速いホイール」ならごまんと存在しますが、
”他のホイールとは根本的に違う「何か」を内包しているホイール”
どんなフレームとも合う懐の深そうなホイールですが、
オールラウンド、特に軽量バイクとの相性は格別かと。
軽量フレームの「巡航性」「不安定さ」といった弱点を
キレイにカバーしてくれると思います。
”リーサルウェポン”
まさに、この言葉がピッタリで、
速度を出すことを宿命づけられているようなホイール。
ヒルクライム以外なら最速な予感さえします。
他のZIPPホイールに度々感じる
「パリパリ」「振動を拾う」デメリットはあまり無く好印象。
これまでフルクラム『RACING ZERO』には、
「ただただ硬くて軽い」といったイメージでしたが、
最新の『RACING ZERO』は普通に乗りやすかったです。
「巡航性」はそれなりのはずなので、
単独走する際には、正直あまり使いたいとは思えません。
ただ、集団内なら、そういった心配は少なく、
むしろ思い通りの立ち回りができる「機敏さ」が勝ちますし、
ワイドリム化によって25cタイヤとの親和性が高まって、
対応できるシチュエーションの幅が広がった万能ホイール。
DURAのC24よりも運動性能は”上”でしょう。
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注文して届くのを待っているDogma K10のホイールをコスミックカーボンUSTか404NSWにしようと思っています。ちょうどこの記事に両方出てきたのでお聞きしたいと思いました。無茶な質問ですが、どっちがいいと思われますか?
悪路用のフレームなので乗り心地はフレームに任せて404か。いやF10と同じ前三角の踏み味は柔らかくはないはず。では脚に優しそうなコスミックか。みたいに妄想だけで悩んでいます。
Akiraさん、ブログご覧いただきありがとうございます(^^)
両者は特徴が違い過ぎて、単純に甲乙をつけがたいので、
「何を重視するか」という視点が大事だと思いますね。
まず『コスカボ』は、粗探ししても欠点が見当たらず、
不満を感じることはないはずなので、無難な選択と言えます。
快適性の高い「K10」とは言えど、
『コスカボ』の乗り心地のメリットは十分大きいでしょうし。
対して『404NSW』は「下り」「平地」「3~4%ぐらいまでの緩斜面」であれば、
”スピード”という点では、これに勝るホイールは皆無かもしれません。
ただ、”急勾配”、”乗り心地”(悪くはないですが「コスカボ」には劣る)では、
多少不満を抱く可能性がある部分ではあるでしょう。
結論としては、
『コスカボ』がやはり無難、
でも、とにかく「巡航速度」に重きを置きたいならば『404NSW』もアリ
というのが私の考えです。
どうぞ、ご参考までに。
こんばんは。
NOAHslをオールラウンド系の自転車と思ったら性能的にはありですか?
その時の感覚を覚えていたらでいいので返信お願いします。
うはらさん、コメント有難うございますm(__)m
私がこれまで乗ったことのあるエアロフレームの中で『NOAH』シリーズほどオールラウンド寄りに感じたものはありません。”セミエアロ”フレームに近い「俊敏性」「クセの少なさ」は、例えばSpecialized『S-Works Tarmac』に近い感覚を覚えました。うはらさんが”オールラウンド系”の乗り味をお求めなのでしたら『Noah SL』は良い選択肢だと思いますよ(^^)