松木です。

 

PINARELLO『DOGMA F10』 ピナレロ ドグマ F10 インプレッション

試乗インプレ最終回(前回前々回)。

 

今回のラインナップ↓

  1. PINARELLO『DOGMA F10』
  2. PINARELLO『GAN RS』
  3. TOMMASINI(トマジーニ)『SINTESI』
  4. GUSTO(グスト)『RCR TL』
  5. FUJI『TRANSONIC』

 

【前編、中編】
『アルプデュエズ』『Helium X』『Fenix C』『ARIA』『FR1』
『Venge Vias』 『Roubaix』『Tarmac』『ウルゲシュタルト』『Diamante SV』

 

【他の試乗インプレ】
『Colnago C64』『Ciel』『Farna Ultimate』『Kougar』
『Agree C:62』『Propel Advanced Pro Disc』『百式』
デローサ『プロトス』3T『ストラーダ』Macchi『R9』
『785 Huez RS』 『KHAN』『Oltre XR3』『XR4』『Specialissima』。
『Concept』 『V2R』『O2』『One』『Nemo Tig』。
『Izalco Max Disc』 『AR FRD』『Izon』『Orca Aero』『Noah SL』。
『SCYRON』『ORCA OMR』『TCR Advanced Pro Disc』『Carbonex HR』『Carbonex』
『FRTC01チタン』『MADONE 9.9』『新型Emonda SLR』『新型R5』『新型S5』『XELIUS SL Ultimate』

 

スポンサーリンク

ヴィットリア『Elusion Carbon』&スペシャ『S-Works Evade』

VITTORIA ELUSION CARBON ホイールインプレッション

ヴィットリア『イリュージョンカーボン』

13万円台で1450gという
ミドルエンドのフルカーボンクリンチャー。

 

デザインは良いと思いますが、乗った感じはやや中途半端。

 

走りの”キビキビさ”をあまり感じず、
他に特別高い性能があるわけでもなく、
全体として、どこか物足りない印象……

 

「良くない」とまでは思いませんでしたが、
高性能アルミ(レーゼ、キシリウム等)を選んだほうが良い気がしますし、
もう少し予算を頑張れば、Roval『CL 50』も見えてきます。

 

『Roval CL50』ホイールがかなり熱い!奪われる『CLX 50』の立場‥‥

 

スペシャ『S-WORKS EVADE』インプレッション ヘルメット

スぺシャ『S-Works Evade』

写真だと「シンプル過ぎるかな」と思っていたのですが、
実物は思ったよりもカッコ良かったですね。

『S-Works Evade』世界戦3勝を成したヘルメットの進化形とは?

 

 

「かぶり心地」は良好。
(個人的には、OGK Kabutoよりもフィットします)

 

全メーカー中、3本の指に入るぐらい。

 

 

そして「サイズ感」

自分はどんなメーカーでも「M」サイズが合います。

もちろん旧作『Evade』でもそうでした。

 

ですが、この『S-Works Evade』に関しては、
「S」サイズでもかぶれてしまいました。

 

「M」のサンプルは無かったので断言はできないものの、
『S-Works Evade』は旧作よりも僅かに大きめなのかもしれません。

 

Mサイズ実測重量 スペシャライズド2018新型『EVADE』。エアロ効果を押し進めたヘルメット。頭頂部 イヴェード 後ろ

ちなみに、S/Mサイズの実測重量は247g

 

スポンサーリンク

試乗インプレッション後編

ピナレロ『ドグマ F10』推定115万

PINARELLO『DOGMA F10』 ピナレロ ドグマ F10 インプレッション

【加速性】9点
【剛性】9.5点
【振動吸収性】8点
【巡航性】8.5点
【お気に入り度】7.5点
(※8点で「なかなか良い」)

”理想”が形になる。2017年のピナレロ『DOGMA(ドグマ) F10』

 

今回で2度目の試乗。

「あらゆる性能が高いレベルでまとまっている」と感じさせるバイク。

この点は『ターマック』に近いです。

 

 

ですが……

 

「剛性感」がかなり強い。

 

 

当然、脚に感じる反発もそれなりにある訳でして、
個人的には、好きな感触のフレームではありません(^^;

 

プロのようにパワーのあるライダーならば、
フレーム剛性が高い(特にBB周辺)ほうが良いんでしょうけど、
多くのホビーレーサーにとっては硬すぎな気がします。

 

『ターマック』よりは万人受けしづらいフレームだと思いました。

 

PINARELLO『DOGMA F10』 ピナレロ ドグマ F10 インプレッション

『レーゼロ』よりも”ソフト”なホイールとの相性が良いでしょう。

ピナレロ『ガン RS』推定75万

PINARELLO『GAN RS』 ピナレロ ガン インプレッション

【加速性】8点
【剛性】8点
【振動吸収性】8点
【巡航性】8点
【お気に入り度】7.5点
(※8点で「なかなか良い」)

 

この『GAN RS』は、『Dogma F10』の下位グレードというよりは、
”カーボングレードを「T1100 1K」から「T900 3K」に落とした『F8』”。

 

『F10』『F8』に次ぐサードグレードのフレームです。

 

 

予想通り「剛性感」「加速性」は、
『F10』よりも抑えられています。

 

他に”秀でた性能”や”独特の乗り味”はなく、
「当たり障りのない、それなりに高性能なバイク」といった印象で、

『GAN RS』に感じる特徴は薄め。

 

ピナレロブランドが乗っかっていて、価格は高めだと感じます。

トマジーニ『シンテシー』推定58万

TOMMASINI(トマジーニ)『SINTESI』 シンテシー インプレッション

ハイエンドのカーボンバイクばかり乗っていると
時々、金属フレームに乗りたくなります。

 

辛い、しょっぱい物ばかり食べていると
スイーツが食べたくなるのと似ているでしょうか?(笑)

 

 

今回は、昔に組んだ経験があって、
少し思い入れもあったトマジーニ『シンテシー』に乗ってみることに。

 

イタリアの職人の技術と経験が注がれたハンドメイドフレームです。

 

TOMMASINI(トマジーニ)『SINTESI』 シンテシー インプレッション

『シンテシー』は”クロモリ”ではなく”スチール”と説明されています。

 

これは、「クロモリ」(クロム・モリブデン合金)ではなく、
「ニバクロム」(ニッケル・バナジウム・クロム合金)だから。

 

「クロモリ」に熱を加えると40%強度が落ちてしまうのに対し、
「ニバクロム」は10%程度しか落ちません。

また、他の金属よりも「伸びる性質(伸張性)が高い」という特徴があるのだそう。

 

 

【加速性】7点
【剛性】7.5点
【振動吸収性】9.5点
【巡航性】8.5点
【お気に入り度】9点
(※8点で「なかなか良い」)

 

とても気持ち良く、純粋に乗るのが愉しい。

 

ロードバイク本来の楽しさを、この上なく堪能できるバイク。

 

”速さ”を追求しているカーボンフレームとは、
完全に別ベクトルの乗り物。

 

 

まず、重量があって低重心ゆえに
”走りの安定感”がハンパではありません。

 

「巡航性」は高めだと感じましたが、
これは「車体の安定感」「慣性重量」により感じるもの。

”エアロ”とは異なったアプローチで面白いです。

 

 

「乗り心地」も”しっとり”していて抜群。

 

脚には、フレームの適度なしなりも感じますし、
細かい振動は身体に伝わるまでに、十分減衰されていました。

 

 

  • 速度を気にせずサイクリングすることが多い
  • 「機敏さ」よりも車体に「安定感」が欲しい
  • 乗り心地の良い、体に優しいフレームが好み
  • ラグジュアリーな金属ラグに所有欲が満たされる

 

こういった方には、持って来いのバイク。

「明らかな欠点」「ハンドリングの癖」なんかもありません。

 

これまでスチール、クロモリバイクに何台も試乗してきましたが、
その中でも、この『シンテシー』が文句無しのNo.1です。

 

トラディツィオーネ tradizione ホイール インプレッション

ホイールは『Tradizione(トラディツィオーネ) ZERO』

クロモリフレームのためにあるかのような”銀色の輝き”。

 

公表重量1496g、体重制限は80kgまでw

 

グスト『RCR TL』29万

GUSTO(グスト)『RCR TL』 インプレッション

「GUSTO」は、大手カーボン製品をOEM生産している
台湾のカーボンメーカー「アタッキ社」の自社ブランド。

 

簡単に言えば、
「他社の製品ばかりではなく、自分たちのも作ろうぜ」
ということ。

 

GUSTO(グスト)『RCR TL』 インプレッション

左右でカラーリングが反転している斬新なデザイン。

 

【加速性】9点
【剛性】8.5点
【振動吸収性】8.5点
【巡航性】8.5点
【お気に入り度】8.5点
(※8点で「なかなか良い」)

 

この仕様と性能の完成車が、税込30万切りは価格破壊。
(カーボン素材「T-1000」、重量7.3kg(ペダル無し))

 

 

『RCR TL』を『ターマック』と比較した場合、

さすがに”洗練されたバランスの良さ”には劣るものの、

各性能に個別に点数を付けていくと
『ターマック』に匹敵するぐらいになります。

 

特に「加速性」は印象的で、
『ターマック』以上とさえ感じるほど。

 

GUSTO(グスト)『RCR TL』 インプレッション

アタッキ社オリジナルの45mmチューブラーを標準装備。

おそらく1400g前後でしょう。

 

完成車のままにして、レース出場に足るパーツアッセンブル。

 

GUSTO RCR Team Edition Legend GUSTO RCR Team Edition Legend

『RCR TE Legend』 (日本限定モデル)

 

『RCR TL』のデザインをシルバーベースに。

そして、+3万でカンパ『シャマル』に変更されているモデル。

こちらのほうが汎用性が高くて良さげ。

 

 

もし30万の予算で1台目を検討しているなら、『RCR』はベスト。

まだ知名度は低いため、乗っている人もほとんどいません。

フジ『トランソニック 1.1』推定80万

FUJI『TRANSONIC』 フジ トランソニック インプレッション

【加速性】7点
【剛性】7.5点
【振動吸収性】8点
【巡航性】8.5点
【お気に入り度】8点
(※8点で「なかなか良い」)

 

「縦剛性」は普通ですが、「横剛性」が低め。

強くペダリングすると、BB周辺が横に歪んでいる感覚があります。

そのためなのか、加速時の動きが鈍いです。

 

「振動吸収性」もギリギリで8点といったところ。

 

 

「巡航性」を求めて”エアロ形状”にすれば、
少なからず別の何かを犠牲にしなければなりませんが、

この『トランソニック』は、
その等価交換が出来ていない印象を受けました。

 

FUJI『TRANSONIC』 フジ トランソニック インプレッション

ホイールは、Oval Concept『50mmハイトカーボン』。

「加速性」がダメだったのは、これの影響も大きかったのかも。

総論:個人的ランキング

最後に、今回試乗した15台に順位を付けてみます。

フレーム部門

【1位】タイム『アルプデュエズ』、リドレー『ヘリウム X』
【3位】ライトウェイト『ウルゲシュタルト』

 

次点に『ターマック』『RCR TL』といった所。

『シンテシー』は、ジャンル違いのため、ランキングから除外。

 

TIME『ALPE D'HUEZ』 タイム アルプデュエズ インプレッション

TIMEが放った初のヒルクライムバイクは、
その「軽さ」よりも『アルプデュエズ』独自の乗り味が素晴らしかったです。

 

乗るほどに愛着が増していき、
他のフレームへの浮気心は失せてしまう気がします。

 

RIDLEY『HELIUM X』 リドレー ヘリウムX インプレッション

『アルプデュエズ』と受けた印象は全く別物ですが、
両者の間に甲乙付け難く……

 

まず、各性能が相当高い、というのが一点。

 

それに加えて、1mmの隙も感じない”超絶バランス”が、
車体全体の性能をもう一段上のものへと押し上げていました。

 

LIGHTWEIGHT『URGESTALT』 ライトウェイト ウルゲシュタルト インプレッション

Lightweightホイールからは想像できない
上品な乗り味を持つバイク。

 

運動性能も高くて”爽快感”も兼ね備えていました。

 

やや「剛性」が高めな点は、
好みが分かれるかもしれないものの、
ケイデンスを少し上げることで対処できます。

ホイール部門

【1位】ロヴァール『CLX 50』
【2位】
ファーストフォワード『F3R』
【3位】
ロヴァール『CLX 64』

 

SPECIALIZED roval CLX50 ホイール インプレッション

”全知全能”と言ってしまえるほどのホイール。

 

何でも高レベルにこなせてしまいますが、
特に『巡航性』は50mmホイールの最高峰だと感じます。

 

「剛性」の絶対値は”やや硬い”ぐらいでしょうか?

なので、人によっては「硬い」と感じる可能性もあります。

 

RIDLEY『HELIUM X』 リドレー ヘリウムX インプレッション

30mmハイトのオールラウンドホイール。

 

『CLX 50』に比べるとすれば、

「巡航性」に関しては後れを取りますが、
抜群の「機動力」は『CLX 50』以上、そして『F3R』最大の強み。

 

ペースの上がり下がりの激しいレース。

一瞬の「反応性」の差で勝負が決まるようなシチュエーション。

 

そういった”瞬間”が明暗を分かつ走りにこそ向いています。

 

SPECIALIZED『VENGE VIAS』 スペシャライズド ROVAL CLX64 ホイール

64mmハイトにして、不相応な「俊敏性」を感じました。

 

「平坦の巡航」と「コーナー立ち上がりのインターバル」を繰り返す
クリテリウムなどでは、その性能をいかんなく発揮してくれるでしょうね。

 

実測1567gと、比較的重さは抑えられているため、
ある程度の勾配までなら、重量がネックになることもないはずです。

 

スポンサーリンク