松木です。
「ご相談・お問い合わせページ」に寄せられたご相談の中から
皆さんの参考になりそうなものをピックアップしてお届けするQ&A第七弾。
(※読みやすいように加筆・省略・修正してます)
第一弾「Mt.富士ヒルで最速のホイール組み合わせは?」など
第二弾「回転部とそれ以外の軽量化の違い」「10万のカーボンクリンチャー」
第三弾「40mm VS 50mm」「ローラーでフロントを上げるべきか?」「Cervelo『S5』」
第四弾「ヒルクライムのドラフティング効果」「2:1組」「ポジションの出し方」
第五弾「軽量高剛性ホイール」「軽量化の質」「ビッグプーリー」「継続力」
第六弾「楕円ギア」「高剛性フレーム」「ホイールバランス」「パワメの必要性」
第八弾「強豪が何故クリンチャー?」「プロのホイールバランス」「エンドワッシャー」
スポンサーリンク
【メカニック】リムブレーキ音鳴りの解消法
Q1.手持ちのMAVICコスカボエグザリット使用時に、
ブレーキの引きの最後の方で「ギギギ」と大きな音鳴りがします。
相性の問題?であきらめるしかないでしょうか?
アドバイスよろしくお願いいたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
A.ブレーキの音鳴りに関しては、自分にも似たような経験があります。
ホイールReynolds『Attack』を所持していた当初、
ちゃんと純正のシューを装着して使用していたのですが、、、
「キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ」
まるでモンスターの咆哮とも思しき甲高い音!!!
しかも300m先にも届きそうなほどの爆音で地獄でしたねw(^^;
残念ながら、シューを調整してもこの音が消えることはなく、
やはり「リムとシューの相性」が良くなかったようです……
ですが「音鳴り」というのは”微妙なバランス”で生じている所があり、
意外とあっさりと消せるものだとも感じています。
具体的なブレーキ音鳴り対策としては、
- シューの取付角度を少し変えてみる
- 前後のシューを入れ換えてみる
- シューの表面をヤスリで削ってみる
⇒『5分でブレーキシューを甦らして、制動力を劇的に上げる方法』 - 別のシューを試してみる
これらの対策を①→④の楽な順に試してもらえれば、
いずれかの段階で「ギギギ」という音は抑えられるはずです。
【機材】ディスクかリムか
Q2.現在2台目のロード購入を検討しており、
ディスクブレーキにすべきか悩んでおります。
検討している車種はトレックの『Emonda SLR』
悩んでいる理由としては「軽さ」を求めてEmondaを選択したものの、
今後リムブレーキ用のパーツ供給がストップする可能性への不安と
苦手な下りを改善するためにディスクのほうがいいのでは?という所です。
【状況】雨天時では基本外を走らない。
ヒルクライムレースメインで活動。近々ロードレースにもチャレンジしたい。
以上の点を踏まえてご助言をいただきたいです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
A.「ディスクブレーキ」が良いと思います。
その主な理由は次の3つです。
①制動力(ディスク◎、リム〇)
平年劣化で引きが重くなっていくワイヤー式と違い、
油圧式ディスクは”常に引きが滑らかで軽い”
それに「制動力」自体もリムブレーキに比べて2割増しの感覚。
ただし、リムブレーキでも不満を感じる機会は多くないため、
(「雨」「テクニカルな高速コーナー」ではディスク有利ですが、)
「制動力」だけではディスクフレームを選択する決め手に欠けるとは思います。
②重さ(ディスク〇、リム◎)
同グレードのパーツで組み上げた場合、
ディスクブレーキVerの方がザックリ300g前後重くなってしまうはずです。
自分は「1kg軽くなると、100mの獲得標高で3.75秒前後速くなる」と考えているのですが、
これに当てはめると+300gは「獲得標高1000mで+11秒」にしかならない計算です。
これは、よっぽどシビアにタイムを狙わない限り
「ディスクは坂で不利になる」とまでは言えない小さい差でしょう。
また、仮に「UCIや日本自転車競技連盟のルール」 に則るレース
例えば、実業団や「ツール・ド・おきなわ」などへの出場を考えられているならば、
リムブレーキ版のEmonda SLRですと、簡単に6.8kgを下回ってしまいます。
結局「パーツグレードを下げる」もしくは「重りを付ける」事になりえますから、
その事前策として、
ディスクVerで「軽すぎない」程度に組んでおくのは賢いかもしれませんね。
「それでもやっぱり重いのは気になる……」
そういった気持ちを今は拭い切れないかもしれませんが、
”ディスクフレーム、パーツの軽量化競争”に各メーカー乗り出してきていますから、
現状ディスク完成車が多少重くなってしまう問題は解消されていくでしょう。
③今後の新しいパーツへの対応(ディスク◎、リム△)
リムブレーキフレームを選択した場合、将来的に、
コンポ、フレーム、ホイールのグレードアップが困難になるのは間違いありません。
現在、リムVerの無いディスク専用フレームが相当増えてきています。
12速eTapといった”コンポーネント”までリムブレーキが無くなりつつありますし、
また、”ホイール”も上位モデルほどディスクブレーキのみのラインナップです。
現状から再びリムブレーキの流れに戻ることは考えにくいですし、
「対応パーツの供給」「将来のパーツのグレードアップ」に関しては
”ディスクブレーキ”の方が圧倒的に有利であると言えます。
以上の①~③を考え、仮に自分がハイエンドグレードの新車を購入するなら、
衰退傾向にあるリムモデルではなく”将来性”のある「ディスク」を選択します。
ちなみに、質問者さんが不安がられている下りにおいても、
ディスクモデルの方が、フォーク・前輪の「剛性」が高いため、
高速ダウンヒルのコーナーで膨らみにくいメリットがありますね。
スポンサーリンク
【機材】オススメのチューブ
Q3-1.貧脚ではございますが、
全身全霊をぶつける一大イベント(ハルヒル、富士ヒル)が近づいて参りました。
ヒルクライムで松木さんのお勧めチューブは何でしょうか?
マキシスのチューブを使ってますが、それよりお勧めがありましたらご教授下さいm(_ _)m
Q3-2.ツール・ド・おきなわ140kmに出場予定(初出場)ですが、
チューブ選択で迷っています。
ツール・ド・おきなわの距離・路面を考えたとき、松木さんなら何を選択しますか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
A.私のお勧め=私が使用中のチューブは、
ヒルクライム・ロードレース共にミシュランの『Air Comp Latex』です。
2本セット ミシュラン Michelin ラテックスチューブ 700C 仏式 AIRCOMP Latex A1 (700×22/23c(バルブ長60mm)) [並行輸入品]
順番にその理由を順番に上げますと、
①ブチルよりも「乗り心地」が良くて快適
富士ヒルであれば路面は比較的キレイですが、
”振動が少ない⇒快適で疲れにくい”に越したことはありません。
また「乗り心地」が良いという事は「安定感」も高くなるという事。
つまり、おきなわの攻略ポイントである「高速コーナー」も
ブチルよりも安心して走れるという事にもつながります。
この点は非常に有利だと感じますよね(^^)
②ラテックスはブチルよりも「転がり抵抗」が低い
少し難しい話になりますが、ラテックスは素材的に
「転がり抵抗」の原因となる”熱の発生(ヒステリシスロス)”が少なく、
さらに「振動吸収性」が高いことで”インピーダンス”の悪影響も小さいです。
そのため、ブチルよりも「転がり抵抗」が小さくなります。
※参考
『タイヤ熟考Ver1「転がり抵抗」≠「タイヤと地面との摩擦による抵抗」』
『タイヤ熟考Ver2「最速の空気圧」は意外と低い?インピーダンスという罠。』
③ミシュランのラテックスは肉厚でパンクしにくく、
かつ空気抜けも比較的穏やか(6時間で-0.4bar程)
数あるラテックスの中から
あえて最も重いミシュラン(40mmバルブ、実測92g)を選んでいるのは、
「パンクだけは避けたい」という思いが第一にあるからです。
SOYOやヴェレデステインのラテックスは40g台と軽いですが、
過去に何でもない所でパンクする痛い目に幾度となく遭いました。。。
確かに”走りの軽快さ”が増すのは気持ち良いんですけど、
40g台の代償としての「パンクリスクの高さ」が釣り合わないと判断。
Bontragerのラテックス(実測75g)を愛用していた頃もあったのですが、
- 1本3,000円/本に値上がり
- 太さのラインナップが減った(現在25-30cのみ)
- 入手しづらい
ことにより、あえなくスタメン落ちに……
ちなみにラテックスチューブに関しては、
下の記事でも詳しく実験&考察していますので良かったら。
スポンサーリンク